発注者支援業務とは
公共事業を発注すると、発注者(公務員)は工事の積算や検査などの業務をすることになります。その発注者側の業務を公務員に代わって行うのが発注者支援の仕事ですが、基本的には補助業務と位置付けられています。簡単に説明すると、発注者支援とは「国や都道府県、政令都市など官公庁が発注する公共事業の発注業務をサポートすること」と言えます。
発注者支援業務ができた理由
かつては、官公庁が発注するに伴って発生する業務は全て技術職員(公務員)が行っていたのですが、あまりにも業務が多く技術職員への負担が大きいことや、民間に雇用を増やす目的を背景に「発注者支援」が誕生しました。発注者支援について詳しく知らない方は多いかと思いますが、東日本大震災など自然災害の復興やインフラ老朽化整備などの影響で業務量は増え、広く認知されるようにもなってきました。
発注者とは誰のことか?
前述した通り、発注者とは国や行政です。
したがって、発注者支援業務は国や行政の業務を補佐する業務ということになります。
一般企業は個人や企業の資金を使って住宅や商業施設などの民間工事を行いますが、国や行政は税金を使って道路や公園、学校、公営住宅など(社会資本)の公共工事を行います。取り扱う建造物が異なるため、一般企業ではできないような仕事をできるのが発注者支援の魅力でもありますね。
支援とは具体的に何をするのか?
発注者側に立って仕事をサポートするため、発注者支援業務は資料作成や、検査のため現場へ出向くことなどが多いです。
発注者の補佐という立場ではありますが、補佐業務は多岐にわたりますし、専門知識とスキルが求められることもあります。
発注者支援の業務
発注者支援業務は様々なものがありますが、おおまかな業務内容は以下の通りです。
なお、業務内容は発注者によって異なります。
◎資料作成
発注者が用意しなければならない予算、事業計画立案に関する資料などを作成します。公共工事をするにあたって地元説明会をしますので、そういった地元説明会で使用する資料なども作成し、発注者が円滑に業務を進められるようサポートします。
◎積算支援
数量計算書をもとに予算書を作成する業務です。積算支援をすることで、現場を監督する「監督職員」は単価のみ入力すれば予算書を作成できます。
◎品質管理
社会資本がきちんと建築基準に合格できるかチェックするほか、設計時の品質や規格を満たせるよう管理する業務です。施工の進捗に合わせて適宜管理を行っていきます。
◎工事監督支援
発注者の立場から、現場の工事監督を支援します。例えば工事中に必要な資料作成や工程、品質管理など、円滑に工事が進められるように動くことになります。
◎用地補償総合技術業務
公共用地交渉用資料を作成して不動産の権利者に用地交渉し、土地の提供について理解してもらいます。
発注者支援のやりがいや意義
発注者は国なので、扱うものは国民の生活を支える「社会資本」です。
発注者支援は発注者を補佐して共に社会資本をつくり上げるため、非常に社会貢献性が高い仕事と言えます。ダムや道路、病院など大規模な公共事業に関わることができるため、発注者支援は大きなやりがいを感じられる仕事でしょう。仕事のレベルが高いため勉強しなくてはいけない事もでてきますが、スキルや経験、実績を積むなかで大きく成長することができます。勤務時間や休日などは公務員に準拠することからオンオフを切り替えやすく、仕事とプライベート両方を大切にできるのも魅力です。発注者支援は建設業界のなかでもワークライフバランスを保ちやすいので、仕事に対するモチベーションも維持しやすいでしょう。
建設転職ナビ参照